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社説「地震保険 頼れる仕組みへ改善を図れ」への反論【保険】

東日本大震災から2ヶ月を経過しましたが、
避難人口は未だ11万人を超えており、
まだまだ被災地が復旧したとはいえない状況です。
一日も早い被災地の復旧が待ち望まれるところです。

さて、今回は5月14日の読売新聞に掲載された社説
「地震保険 頼れる仕組みへ改善を図れ」について。

※社説はこちら

いくつか、誤解、誤認を招く表現が見られたので、
補足と訂正をしつつ、今の地震保険に
本当に必要なことについて述べたいと思います。

まず、この社説の主張を要約します。
①補償額が不充分
②加入率が低い
 →査定が厳しい、支払い情報非開示という不信感
③保険料が高い
 →割引制度が不整備?
④「次の震災」への原資の確保が課題


順に検証していきましょう。

①補償額が不充分 に関して

 被災者の住宅再建には、最大300万円を支給する国の支援制度もある。だが、これに地震保険を加えても、全壊した住宅を建て直すのは難しく、保険の補償額に物足りなさを感じる人は多い。



不十分だと考えることはもっともだと思いますし、
そう感じている人もある程度いるのは確かですが、
割合として多いのか、人数として多いのかが不明です。
「多い」という漠然とした表現で誤解を招いています。

地震補償保険リスタご加入者様へのアンケート(PDF)でも
加入前の悩みとして地震保険の補償額が不十分であることを
挙げた方は全体の約25%いらっしゃいました。

全項目の中で第二位ですので、割合としては多い方ですが、
このアンケートはリスタ加入者が分母になっているので、
元々何かしら資金面で不安を感じていた人の中での
25%は果たして人数として多いと言えるのでしょうか。


②加入率が低い に関して

被害の査定が厳しく、保険金が思ったほど出ないとの不信感も根強い。このため、地震保険の世帯加入率は阪神大震災の時の9%から23%に上昇したが、近年は伸び悩んでいる。


とあります。

(1)査定が厳しい→保険金が思ったほど出ない
(2)不信感→加入率が伸び悩む

という因果関係が読み取れますが、
これは無根拠です。
もちろんこの因果関係が正しい場合もありますが、
そうでない場合もありますし、全体としての割合は
不明もしくは決して多くないことが分かっています。

(1)査定が厳しい→保険金が思ったほど出ない
確かに被害の査定の詳細については、
各保険会社から公表されているのを
聞いたことはありませんが、
保険金が思ったほど出ない理由は
本当に「被害の査定」なのでしょうか?

ちなみに、地震保険の保険金支払方法は
下記の通りとなっています。

地震保険支払い
「地震への備え大丈夫?」日本損害保険協会

「保険金が思ったほど出ない」と感じる理由は、
・被害状況によっては満額は支払われない
・そもそも地震保険金額が少ない
 (火災保険金額の50%までしか掛けることができない)
・時価額を上限に設定していた
 (再調達価額(もう一度買い直すための金額)に設定できる)
こういったことの認識が不足していることも
考えられます。

(2)不信感→加入率が伸び悩む
損害保険料率算出機構による
地震危険に関する消費者意識調査
(平成21年調査)では、
地震保険の非加入者に
「なぜ地震保険に加入しなかったか」
という質問をしている項目があります。(下記PDFの63ページ)

この質問の回答として多い順に、

1.具体的な保険料まではわからないが、
 保険料が高いイメージがあったから 30.4%
2.具体的な保険料を見た、あるいは
 計算した結果、保険料が高かったから 29.8%
3.地震保険では住居建物の再築に
 必要な額の50%までしか補償されないから 21.9%
(数値は火災保険加入者分)

となっています。

「不信感」については項目がないため、
正確な比較とはなりませんが
地震保険は保険料が高いから
(または高いイメージがあるから)
加入しなかったという人が
多数を占めていることがわかります。

また、そもそも地震保険への加入を
検討しなかった人が半数を超えています。
検討しなかった理由も、
「賃貸住宅だから」という項目を除くと
「保険料が高いイメージがあったから」が
最も多く約3割に上っています。

地震保険制度自体への理解不足が
非加入の主たる理由なのです。

地震危険に関する消費者意識調査(平成21年調査)


また、そもそも「世帯加入率が伸び悩んでいる」
という記述については、事実誤認です。
阪神淡路大震災以降毎年着実に増加していることが
下記のデータからも読み取ることができます。
地震保険加入率
地震保険 都道府県別世帯加入率の推移(pdf)
《グラフ作成して挿入》


③保険料が高い について

保険料が高すぎるとの声もある。木造住宅に1000万円の地震保険をかけると、地震のリスクが高い東京都や愛知県の基本保険料は年3万円強、最も安い県でも1万円かかる。保険料の割引制度などを充実できないだろうか。


とありますが、これでは
さも割引制度がないかのように
思われてしまいます。

地震保険の割引制度は以下のとおりであり、
建物の免震・耐震性能に応じた
割引制度があります


地震保険割引
「地震への備え大丈夫?」日本損害保険協会

保険の基本でもある、リスク量に応じた保険料負担
という観点からは、妥当な割引制度ではないでしょうか?

④「次の震災」への原資の確保が課題 について

 今回の支払総額について野田財務相は、9700億円にのぼるとの見通しを示した。この金額であれば、民間の準備金と特会の積立金で十分に賄える。

 ただし、原資は大幅に目減りする。「次の震災」への備えをどう固めておくかが課題となる。


とあります。
確かに今回の支払いによって
目減りした原資を補填することは必要ですが、
「大幅に目減りする」という
曖昧な表現
は誤解を招きかねません。

現在(東日本大震災発生以前)の地震保険では
1回の地震等につき5.5兆円が支払い総額の
限度としていました。
その分の支払いは保証されているということです。

今回約1兆円の支払いになる見込みなので、
単純に考えて、4.5兆円の支払い余力が
あることになります。
実際はそう単純な話ではありませんが、
ざっくりと把握することで無用な不安を
払拭することはできます。


結局のところ、制度として
もちろん不十分なところもあるでしょうが、
一番の課題は
「制度の周知の徹底」
なのではないでしょうか?

不信感を助長させるようなこういった記事は
本当の意味で国民を助けることには
ならないのではと危機感を覚え、
筆をとった次第です。

(ご参考)
過去記事:掛金が高いから地震保険は不要?(2010/10/28)
過去記事地震保険加入者の26%が望むものとは?(2010/10/29)

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TAG : 地震 地震保険 読売新聞 社説 保険料

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