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被災地からの証言まとめ②【地震防災(地域)】

11月28日、東北圏広域地方計画シンポジウム
「東日本大震災、被災地からの証言」
~東北圏の教訓と課題を活かすために~
に参加してきました。

シンポジウムの詳細(PDF)

所要により途中退席したのですが、
話を聞けたところまでのまとめを、前回に引き続き投稿します。


3.気仙沼市・菅原茂市長のお話し
kesennuma.gif
・人口約74,000名のうち死者行方不明者約1400名という
 被害を受けた。
・大震災で約70cm地盤が沈下したことが現在最大の問題となっている。
(ご参考)
海底10m削られ、76cm地盤沈下…気仙沼(2011/4/11 YOMIURIONLINE)
・市内の事業所のうち、約80%が地盤沈下に伴う浸水の被害を受けている。
・沿岸にあった石油タンクが全壊し、市内で大規模な火災が発生した。
 完全に鎮火するまで2週間かかった。
(ご参考)
東日本大震災 気仙沼 津波後の火災 鹿折 Ⅴ -YouTube動画

・狭い道路などが原因で避難時に避難渋滞が発生した。
・津波避難ビルは市内で15か所指定していたが、
 津波によるがれきの影響で2次避難場所への移動が困難であった。
停電、通信断絶、避難所運営の体制等も問題になった。
・過去の経験から避難をしない住民の意識も問題であると感じた。
・震災復興計画の基本は津波による死者をゼロとする街づくりとした。
 副題として「海と生きる」※と名付けた。(副題は市民からの応募とのこと)
 ※気仙沼市震災復興計画「海と生きる」とは(PDF)
・生活道路であった国道45号線が通行不能となり、
 市民生活に大きな支障が出た。
 「命の道」である三陸縦貫自動車道の完成を心待ちにしている。
産業を活性化(復旧、復興)しないと街自体がなくなるという危機感がある。


3.相馬市・立谷秀清市長のお話し
souma.gif
・人口約37,000名の市であるが、
 津波被害を受けたのは約400年ぶりであった。
・宮城、岩手の市町村と異なり、当市は福島原発事故の影響もある。
・現在は「次の死亡者を出さない(いわゆる関連死)」ことを
 最優先に取り組んでいる。
・大震災翌日、仮設住宅計画を作成し、市内の賃貸住宅も
 被災者用に確保した。
国道6号線バイパスが津波の侵入を止める堤防の役目を果たしたため、
 病院など市内の公共施設が震災後機能したことが大きい。
・「くしの歯」作戦(国交省PDF)による物資輸送があったが、
 当市では原発事故の影響で物資が十分に確保できなかった。
 なので、福島市や場合によっては東京まで物資を取りに行った。
image001_kushi.png
・(原発事故の影響で)隣接する南相馬市からも
 約4,000名の避難があり、受け入れた。
・経済自殺防止のため、無料法律相談やPTSD対策も講じた。
・仮設住宅は6月末までに1,500戸が完成し、集合住宅も用意した。
・地域単位のコミュニティを維持し、組長を通じた行政サービスを実現する
 「仮設住宅マネジメント」を実施した。



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TAG : 東日本大震災 被災地 復旧 復興 相馬 気仙沼 津波 福島原発 地盤沈下

被災地からの証言まとめ①【地震防災(地域)】

11月28日、東北圏広域地方計画シンポジウム
「東日本大震災、被災地からの証言」
~東北圏の教訓と課題を活かすために~
に参加してきました。

シンポジウムの詳細(PDF)
所用により途中退席したのですが、
聞けたところまでのまとめを今回から投稿します。


1.陸前高田市・戸羽太市長のお話し
rikuzentakatashicho.gif
・全国各地や海外からの支援に大変感謝している。
・約24,000人の市民のうち、1,700人が死亡、行方不明となり、甚大な被害を受けた。
・市役所等の公務員も約70名が死亡、消防団員約50名が死亡した。
・公務員は地域防災のプロではないが、自らすぐに
 避難するわけにもいかない、というジレンマがある。
・大震災後、ボランティアに多数訪問いただいたが、
 コーディネートできなかったのが、残念である。
 日頃より災害時ボランティアの受け入れを準備しておく必要がある。
 (医療ボランティアについても同様)
・(大震災発生の前月である)2011年2月に市長に当選したばかりのところで、
 今回の震災がおきた。全国青年市長会にも大変な支援をいただいた。
法律の規制が被災地の復旧、復興を妨げるケースがある。
 非常事態時には、国の権限を県や市町村に移譲してもらえないものか?
・当市では自主防災組織を形成している。
・「津波てんでんこ」についても悩んでいる。
 行政として、また、人としてそれでいいのだろうか?
 (ご参考)過去記事:「想定外を生き抜く力」のまとめ②
・震災で孤児となった子供が27名いる。
 この子供たちへの支援も考えなければならない。


2.株式会社マイヤ・米谷春夫社長のお話し
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・大震災まで16店舗183億の年商があったが、その約4割に被害を受けた。
・全従業員約1,100名のうち、死亡した16名は全員「公休」であり、
 就業中に死亡した従業員はいない。
・大船渡市にある本店は半壊したが、倒壊はしなかった。
・大船渡市や陸前高田市では、就業していた従業員が
 他の建物等にいる被災者を救助したケースもあった。
・大震災当日15:00から駐車場で店頭販売を始めた店舗もあり、
 現場力の強さを実感した。
・自社の地震対策としては、(企業向け)地震保険の加入のほか、
 年に3回の防災訓練を実施している。
・自社の従業員が迅速に津波から避難したことで、それにつられて避難した人がいた。
・大船渡市、陸前高田市、大槌町と防災協定を行っている。
・各店舗では、死亡者だけでなく、負傷者をゼロとする取組みを続けている。
・災害に「絶対」はなく、いわゆる「想定外」がありうるという前提で災害対策を講じている。
・被災地への企業振興策は全て中小企業向けの施策であり、
 資本金の大きかった自社では活用できなかった。なので、減資を行った。
 ※資本金を9,800万円から5,000万円に減らしたとのこと
・今回の大震災では、クライシスマネジメントの重要性を実感した。
 また、地域だけでなく、企業間のネットワークの必要性を感じた。



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TAG : 東日本大震災 被災地 復旧 復興 陸前高田 大船渡 津波てんでんこ マイヤ

トルコ地震について「日本ができること」を考える【地震防災(地域)】

トルコ東部では10月23日にマグニチュード7.2※の
大きな地震が発生し、11月10日にも大きな余震で、
日本人の宮崎淳さんがお亡くなりになりました。
ヤフーニュース

turkey001.jpg
(画像出典)YOMIURI ONLINE

宮崎さんはNPO法人「難民を助ける会」の一員で、
10月の震災の復興支援活動を現地で行っていたそうです。

トルコは親日国家で知られますが、
トルコ国民が親日感情を持つようになったのは
「エルトゥールル号の遭難」と呼ばれる、
100年以上前のある出来事がきっかけでした。

1890年にオスマン皇帝が日本に派遣した特使一行を乗せたエルトゥールル号が暴風雨に遭い、和歌山県串本町沖で遭難するという事故が起きた。村人たちは、自分たちの食べ物がなくなっても遭難したトルコ人を助けた。それから約100年後のイラン・イラク戦争の際にイラン上空が閉鎖されたときに、どの飛行機も危険性が高いため、イラン在住の日本人救出に向かえなかった。唯一トルコ航空の飛行機が、日本人救出に飛んだ。

引用元:目指せ!地球村ワセダ人!
このエピソードの詳細はこちら

このように強い親日感情を持ったトルコの方々は、
東日本大震災のときも支援を惜しまず、
私たち日本人を救ってくれたのです。

東日本大震災に対するトルコからの支援

・アフメト・ダウトオール外相は最大限の支援を表明し、
 外務省内に状況把握を目的とした特別チームを設置

・トルコ赤新月社は緊急救助隊3チームの派遣を発表、
 支援・救助隊の32名は3月19日に成田空港に到着

・救援活動のための特別対策本部を設置
 トルコ赤新月社が専門家3名を日本に派遣

・トルコ政府は4月4日、飲料水約18.5トンを宮城県に、
 豆およびツナの缶詰約68,800個を福島県に、
 毛布約5000枚を東京都世田谷区他の被災者受入れ3区に
 支援物資として提供

・義援金はトルコから日本赤十字社に約1600万リラ(約7億円)
 義援金ニューヨーク市内トルコ・コミュニティから
 ニューヨーク日本国総領事館に3万ドル(約230万円)

・コンヤ市の小学生が自分たちの小遣いを日本の被災支援のために募金


(ご参考)wikiGow!Magazine外務省発表資料(PDF)

こんな話もあります。
「1999年の大地震で日本に助けられた」
「国際救援チーム」まだ頑張ってくれてるトルコとイスラエルに密着
(2011/4/7 JCast テレビウォッチ)


11月10日の余震で亡くなった宮崎さんと同じホテルで被災し、
共にNPO「難民を助ける会」で活動をしていた
近内みゆきさんについても以下のようなニュースがあります。

近内さんは、東日本大震災の際にトルコが行った被災者らへの支援に感銘を受け、恩返しがしたかったと支援活動の動機を説明。病院を訪問したトルコのベシル・アタライ副首相に日本に帰るために手助けが必要かと尋ねられると、「ここにとどまって活動を続けたい」と力を込めた。

トルコ地震で救出の近内さん「パソコンの光が希望に」
(11/11 ロイター)

このニュースは、地震防災の際に重要な
「自助・共助・公助」のうちの、
国境を超えた「共助」の精神を実践されているといえます。

こうした精神を見習い、地震大国日本として
地震防災についての根本的な問題の解決のために
何ができるでしょうか?

トルコは日本と同じく地震多発国で、
建物の耐震基準についても日本と同程度という高い水準ですが、
実際にはほとんど守られていないということです。
(ご参考)トルコの耐震基準(PDF 5,6ページ)

国や企業が、危機に瀕している「友人」に、
「緊急地震速報」や「建物の耐震化」などの技術、
そして様々な教訓や研究成果などを伝えていくこと

求められているといえます。

(ご参考)
地震・津波緊急警報システム、東南アジア輸出へ 官民一体で
(8/21 MSN産経ニュース)


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TAG : トルコ地震 難民を助ける会 エルトゥールル号 東日本大震災 耐震 緊急地震速報

「想定外を生き抜く力」のまとめ②【地震防災(地域)】

引続き、片田教授の基調講演についてまとめていきます。
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これまで、防災教育が不徹底で、想定も不十分だったとまとめた上で、
では、想定外を生き抜くにはどうすればよいのか?
という核心部分についてお話しされました。


「大いなる自然の営みに畏敬の念を持ち、
 行政に身をゆだねることなく自ら身を守れ
という考え方がポイントであることを指摘されました。


そして、津波等自然災害から避難する際の三原則を発表されました。
その三原則とは

①想定にとらわれるな
ハザードマップ等はあくまでも過去の災害に基づくデータに過ぎない。

②最善を尽くせ
「ここまで避難すれば大丈夫」ということはない。いかなる場合も最善(な避難)を考えて行動せよ。

③率先避難者たれ
人を助けるために自らの生命、身体を守ることが必要である。
正常化の偏見※1にとらわれず、率先して避難し、
同調性バイアス※2で周囲を巻き込め。
※1この場合、危険を過少評価し、自分だけは助かるという思い込み。
※2この場合、2周囲の人と同じ行動をとることが安全と考えること。

というものです。まさに指摘の通りだと実感しました。


さらに、防災教育について防災に対し、主体的な姿勢を醸成する
姿勢の防災教育が最も効果的であると指摘をされました。

※この反対となるのが
脅しの防災教育…被害などをことさらに強調しても実際に役に立たない。
知識の防災教育…想定にとらわれすぎる結果となる。
等とのこと。

このような「姿勢の防災教育」を、片田教授は
釜石市の小中学生や教職員を通じて、
その親の世代に波及させたい、という目的で
取り組んだとされました。

また、三陸地方では有名な「津波てんでんこ」について、
以下の解釈をされました。

※「津波てんでんこ」とは?
津波が来たら、親も子供も捨てて真っ先に逃げよとする三陸地方の言い伝えの1つ。

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津波てんでんこ―近代日本の津波史 山下文男(著)

・津波の際には家族の絆がその被害を大きくしてしまう。
 (例)親が子を心配し、迎えに行く等
 ↓
・親子とも自らの命に自ら責任を持ち、家族同士の信頼関係を
 築くことで「津波てんでんこ」が可能となる。

「釜石の奇跡」とは決して奇跡ではなく、
片田教授や釜石市の小中学校や教職員が
8年間取り組んでこられた防災教育の結果であることを
実感させられました。
また、適切な防災教育が行われると成果に繋がる、
ということが理解できるすばらしい講演でした。

(参考)
小中学生の生存率99.8%は奇跡じゃない
「想定外」を生き抜く力

(2011/4/22 WEDGE)
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TAG : 想定外 津波 行政 ハザードマップ 避難 防災 防災教育

「想定外を生き抜く力」のまとめ①【地震防災(地域)】

昨日書いた通り、片田教授の基調講演について
今回からまとめていきます。
rikare_dis21a_j_pho01.jpg


冒頭、片田教授が今回の大震災までの
岩手県釜石市での取組みについて
その背景、概要を説明されました。

・釜石市は明治三陸津波昭和三陸津波で大きな被害を受けている。
 釜石市に暮らす住民にとって津波防災は必要不可欠であった。
 (明治三陸津波では釜石町(当時)住民6,500名のうち、
  4,000名が死亡したらしい)

・8年前から釜石市で津波防災に関する教育を行っている。
 10年を一つの区切りとして、20年は継続したいと考えていたが
 その8年目に今回の大震災が発生した。

・(津波からの)災害に対して、大人は自己責任としても、
 子供にはせめて正しい防災教育を受けてほしいと考えた。
 津波警報が出ても避難しない大人に子供への防災教育が
 できるのか? 疑問だった。

  (ご参考)
  大震災の津波警報でも避難2%台 静岡など太平洋岸6県
  (4/18 47NEWS)

・大人向けの防災講演会も開催していたが、毎回同じ参加者で
 効果があったとは考えにくかった


次に、今回の東日本大震災が本当に想定外だったのか?
という疑問を提示されました。


・相手は自然(の事象)であり、あらゆる事態(予想を上回る津波が発生する等)は
 想定が可能だったのではないか?

・防災行政における想定とは、自然現象からの防御の目標を定めることに
 過ぎないのではないか?


とされ、明治三陸津波をもとに作成されていた釜石市のハザードマップと
今回の大震災での津波による浸水の被害を比較され、
津波の想定地域外で多くの住民が死亡していることを指摘されました。
※下図においては塗色のない青枠内。
 塗色のない部分は津波想定区域外とされていた。

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(画像出典)ダイヤモンドオンライン社

(ご参考)
岩手・釜石の死者・不明65%が「津波想定区域外」
(2011/6/21 MSN産経ニュース)


これらより、「想定」にとらわれすぎた防災教育が問題ではないか?
と重要な指摘をされました。

つまり、「想定」された災害に基づいて
防潮堤などの防災対策が講じられているが、
その「想定」を超えた場合どうするのか?
ということに対する住民の意識の低下が
災害被害を大きくさせる ということです。

また、その「想定」自体がどのように用意されているのか?
ということを認識しておくことが、防災教育について
重要であるということです。

(ご参考)
釜石市の湾口防潮堤
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次回も引き続きこのまとめを投稿します。


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TAG : 津波 津波警報 釜石 三陸 想定外

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